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入浴の補助に役立つ福祉用具(入浴用具)とは?選び方と介護保険のポイント

高齢者の入浴には、転倒のリスクが伴います。
そのため、大きな怪我をしてしまわないか心配している方も多いのではないでしょうか。
入浴補助用具を適切に活用することで、安全な入浴環境を整えることができます。

本記事では、介護保険制度において入浴補助用具が購入の対象になること、介護保険で利用できるおすすめの入浴補助用具をご紹介します。
ご自宅での入浴が安心して行えるよう、この記事を参考にしてください。

入浴時に感じやすい不安と事故リスク

高齢になると、筋力やバランス能力の変化により、立ち座りや浴槽をまたぐ際の動作が不安定になりやすい傾向にあります。浴室内での移動や向き換え、シャワー中の姿勢保持でもふらつきが起きやすく、転倒リスクにつながる可能性があります。
加えて浴室は、床が濡れて滑りやすいことや、洗い場と浴槽の段差があることなどから、転倒や姿勢の崩れにつながる要因が重なりやすい環境といえます。浴槽の出入りで体をひねったり、シャワーで立ったまま体を洗ったりする場面では、手すりがないと支えを確保しにくく、介助が必要になることもあります。

浴槽内での事故や溺水など、入浴に関する事故は一定数報告されています。消費者庁の資料では、浴槽内での事故等による高齢者の死亡者数が年間約6,541人に上ります(消費者庁、令和5年人口動態統計より)。
浴槽につかる前後の動き(浴槽のまたぎ、立ち上がり、浴室内の移動)が不安定な場合は、見守りや介助が必要になることもあります。浴室での転倒は骨折などの大きなけがにつながり、入浴そのものへの不安を強める要因にもなり得るため、環境面も含めた安全対策が大切です。

こうした不安やリスクへの対策の一つとして、入浴補助用具の活用が挙げられます。次の章では、入浴補助用具を取り入れることで得られるメリットを整理します。

入浴補助用具を取り入れることで得られるメリット

入浴補助用具は、ご自宅での入浴時に安全面への配慮に活用できます。導入によって期待できる主なメリットは、次のとおりです。

  • 身体的負担の軽減と安全性向上:浴槽の出入りや体を洗う動き、浴室内の移動が行いやすくなり、転倒リスクの軽減が期待できます。手すりや浴槽台などを組み合わせることで、姿勢保持もしやすくなります。
  • 精神的な安心感と自立心の維持:入浴時の事故への不安が和らぐことで、一人で入浴できるという安心感につながります。シャワー時に座位を保ちやすい用具を選ぶことで、介助が必要な場面が減り、自立した生活の継続や生活の質(QOL)の維持にも役立ちます。
  • ご家族の不安軽減:高齢のご家族が一人で入浴することへの不安が軽減されます。

このように、入浴補助用具の活用により安全面の配慮ができ、安心感の向上が期待できます。次の章では、代表的な入浴補助用具の種類を用途ごとに紹介します。

入浴補助用具の種類

ご自宅での入浴を安全に行うためには、さまざまな入浴補助用具が役立ちます。
厚生労働省が定める入浴補助用具は全7種類ありますが、ここでは代表的な4種類について特徴をご紹介します。

浴室内の足元を安定させるすのこ

浴室内すのこは、主に足元の段差解消のために浴室の洗い場に設置するアイテムです。
一般的なすのこと異なり、濡れても滑りにくい素材や構造で、足元を安定させ転倒リスクを軽減します。ユニットを組み合わせて洗い場スペースに合わせられるタイプもあり、敷くだけで簡単に設置できます。浴室内の移動や、介助者がそばで支える場面でも足元が安定しやすくなります。

浴槽への出入りを支える浴槽用手すり

浴槽用手すりは、浴槽への出入り(またぎ動作)や浴槽内での姿勢保持に不安がある場合に、支えとして活用されることがあります。浴室内で立ち上がって向きを変える動作や、浴槽の縁につかまって移動する動作が安定しやすくなり、介助の負担軽減につながる場合もあります。
工具を使わずに設置できるタイプもあり、グリップの高さや幅を調整できる製品も見られるため、体格や浴槽の状況に合わせて選びやすい点も特長です。

「浴槽手すりUST-130N」はトルク制御機能により、浴槽を傷つけることなく適切な力でしっかりと固定。高齢者が浴槽に出入りする際に、安定した支えを提供します。手すりの浴槽への取り付け位置が変わっても、内グリップを付け替えることなく、どの位置からでも握ることができるため、安全な姿勢を保ちやすくなります。

浴槽手すりUST-130N

洗い場で姿勢を安定させる入浴用いす(シャワーチェア)

入浴用いす(シャワーチェア)は、浴室の洗い場で座って身体を洗うための入浴補助用具です。立ち続けることが難しい方や、バランスに不安がある方に適しています。座った状態で体を洗えるため、シャワー中のふらつきによる転倒リスクを軽減し、入浴時の負担軽減につながります。また、浴室内の移動量が減り、介助が必要な時間を短くできる場合もあります。

「ユクリアAIR ミドルSPワンタッチ」は、二重構造のWクッションが体を柔らかく支え、肘掛けは立ち上がりをサポートします。また、従来品と比較して約30%の軽量化を実現しているため、持ち運びや片付けが簡単です。

折りたたみ時の幅が約13cmとコンパクトで、狭い浴室でも場所を取りません。さらに、防かび加工に加え防汚加工や抗菌機能も備えているため、日々のお手入れが簡単です。

シャワーチェア ユクリアAIR ミドルSPワンタッチ

浴槽内動作を補助する浴槽内いす(浴槽台)

浴槽台は、浴槽の底に置いて使用する入浴補助用具です。浴槽をまたぐ高さの調整に使えるだけでなく、浴槽内で座位を安定させたい場合の支えとして活用されることもあります。
浴槽内での立ち座りが安定すると、浴槽出入りの介助が必要な場面を減らせる可能性があります。高さは、出入りのしやすさや膝の曲げ伸ばしの負担感に合わせて検討することが大切です。

「浴槽台ソフト(Air)レギュラー」は、浴槽台の使いやすさを追求した製品です。この浴槽台は、従来品と比較して最大約30%軽量化していて、片手でも簡単に持ち運びができます。

また、防かび加工と防汚加工が施されているため、日常のお手入れが簡単です。天面は滑りにくいクッション素材で、使用者の身体状況や浴槽の高さに合わせて調整可能です。

浴槽台ソフト(Air)レギュラー

入浴補助用具を選ぶ際のポイント

入浴補助用具は種類が多く、合う・合わないは身体状況や浴室環境によって適したものが異なります。浴槽の出入り、浴室内の移動、シャワー時の姿勢保持など「どの動作で不安が強いか」を整理すると、手すり・浴槽台・シャワーチェアなど用具の優先順位が見えてきます。購入前に次の点を整理しておくと、選びやすくなります。

  • 不安を感じやすい動作:浴槽のまたぎ、立ち座り、浴室内での移動、洗い場(シャワー時)での姿勢保持など
  • 浴室環境:床材の滑りやすさ、段差、手すりの設置可否、浴槽の高さ、浴槽内いす(浴槽台)を置けるスペースなど
  • 介助の有無:介助者がいる場面と一人で入浴する場面のどちらが多いか(浴槽の出入りや移動の介助が必要かも含めて確認)
  • 清掃・管理のしやすさ:濡れた環境で使用するため、手入れの負担も考慮する

安全面に関わるため、必要に応じてケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談しながら進めると安心です。介護の状況(介助の頻度や、浴室内の移動をどこまで一人で行えるか)も共有しておくと、より適した補助用具を選びやすくなります。

入浴補助用具に介護保険は利用できる?

入浴補助用具の導入を考える際「レンタルは可能なのか」「介護保険は使えるのか」といった点は、気になる方も多いのではないでしょうか。
この章ではそのような疑問にお答えしながら、介護保険制度における入浴補助用具の位置づけや、利用できる具体的な制度について詳しく解説していきます。

介護保険における福祉用具購入制度とは

介護保険制度は、要介護認定を受けた方が住み慣れた自宅で自立した日常生活を送れるよう支援する公的な制度です。この制度には、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどさまざまな介護サービスに加え、自宅での日常生活をより安全で快適にするための福祉用具の利用も含まれています。
介護保険を利用して、福祉用具のレンタル(貸与)または購入を検討できる場合があります。利用可否や対象品目は、要支援・要介護区分や用具の種類によって異なります。
制度を利用する場合は、まずケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談し、必要な用具や手続きを確認します。そのうえで指定事業者から購入し、申請手続きを行うことで、費用の一部が支給される形です(手続きの詳細は自治体により異なる場合があります)。

入浴補助用具がレンタルできない理由

多くの福祉用具は介護保険の貸与(レンタル)対象ですが、入浴補助用具はレンタル対象外とされています。背景には、肌に直接触れやすい用具であることから衛生面の配慮が必要な点や、高温多湿な浴室環境での使用によって材質の劣化・変形が起こる可能性がある点などがあります。
上記のような特性から、介護保険制度では衛生面や安全性を考慮し、入浴補助用具を「特定福祉用具販売」の対象品目として購入を基本としています。

出典:厚生労働省「介護保険における福祉用具」

介護保険「特定福祉用具販売」の対象となる入浴補助用具

入浴補助用具は、介護保険制度において「特定福祉用具販売」の対象品目と定められています。厚生労働大臣が定める「入浴補助用具」の具体的な種類は、以下の通りです。

  • 入浴用いす
  • 浴槽用手すり
  • 浴槽内いす(浴槽台)
  • 入浴台(バスボード)
  • 浴室内すのこ
  • 浴槽内すのこ
  • 入浴用介助ベルト

対象となる用具は、身体状況や浴室環境に合わせて選ぶことが重要です。また、入浴補助用具は原則として「購入(特定福祉用具販売)」の対象となります。

参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目」 

入浴補助用具の相談・購入方法

入浴補助用具はどこで相談し、どのように購入すれば良いか、迷う方もいるかと思います。
主な購入方法としては、実店舗とインターネットでの購入が挙げられます。実店舗では、実際に製品を手に取って確認できる利点がありますが、展示されている品数が限られるのがデメリットです。

一方で、インターネットは非常に多くの製品を取り扱っており、ご自身の状況に合うものを見つけやすいメリットがあります。
ただし、介護保険の福祉用具購入費の支給対象は、原則として各自治体の指定を受けた事業者からの購入に限られます。インターネット購入の場合は、購入前に介護保険の適用可否や手続きについて、ケアマネジャーや自治体の窓口に確認しておくと安心です。

適切な入浴補助用具を選ぶためには、ご自身やご家族の身体状況や浴室の環境に合わせた専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。ヤガミホームヘルスセンターでは、それぞれのニーズに合った用具の選び方について、福祉用具専門相談員が丁寧にご案内いたします。

購入手続きに関するご不明点もサポートいたしますので、安心してご相談いただけます。

まとめ:入浴補助用具で安心できる入浴環境へ

入浴時の転倒リスクや身体的負担は、高齢者にとって大きな課題となります。入浴補助用具の導入がそういった課題の解決に役立つ場合があります。
本記事を参考に、ご自身やご家族に合った入浴補助用具を見つけ、安心できる入浴環境づくりにお役立てください。

介護用品選びはヤガミホームヘルスセンターへ

入浴補助用具は種類が多く、身体状況や浴室環境によって適したものが異なります。ヤガミホームヘルスセンターでは、ご家庭の状況や使用される方のニーズに合わせて、適切な製品選びをサポートさせていただきます。
ご自身だけで選ぶことが難しいと感じた際は、ぜひご相談ください。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する診断・助言を行うものではありません。心身の状態や住環境に不安がある場合は、ケアマネジャー等の専門職や自治体の窓口へご相談ください。


【参考文献】
厚生労働省「厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目」
消費者庁|みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故(入浴中の事故)
政府広報オンライン|冬の入浴中の事故に要注意(対策の整理)
コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意― | 消費者庁

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